日本栄養・嚥下理学療法学会雑誌
Online ISSN : 2759-3738
研究論文(原著)
回復期リハビリテーション病棟に入院した大腿骨近位部骨折患者の入院時の低栄養は退院時の歩数に影響する
笠井 紅里井上 達朗小林 壮太前川 健一郎八木 拓磨西野 光貴船山 結衣古澤 芽依甘粕 康太齋藤 新貴鎌田 夏未椿 淳裕
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2025 年 2 巻 1 号 p. 17-23

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抄録

【目的】回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)に入院した大腿骨近位部骨折患者の入院時の低栄養が、退院時の歩数に与える影響を明らかにすることとした。【方法】研究デザインは前向き観察研究とした。対象者は2施設の回リハ病棟に入院した大腿骨近位部骨折患者148名とした。入院時の栄養状態はMini Nutritional Assessment-Short Form(以下、MNA-SF)を使用して評価し、0~5点を低栄養群、6~14点を低栄養以外群とした。メインアウトカムは退院時の歩数とした。統計学的解析は、入院時の栄養状態とMNA-SFの構成項目が退院時の歩数に与える影響を明らかにするために重回帰分析を行った。【結果】対象者の平均年齢は83歳、女性の割合は79%であった。重回帰分析の結果、低栄養は退院時の歩数に有意に影響を与えていた(β = -588.300, 95%CI -1137.159 - -39.440, p = 0.036)。また、MNA-SFの構成項目の中では、自力での歩行(β = 613.762, 95%CI 216.494 - 1011.030)とBody Mass Index(β = 227.103, 95%CI 21.820 - 432.386)が退院時の歩数に有意に影響を与えていた。【結論】回リハ病棟に入院した大腿骨近位部骨折患者の入院時の低栄養は退院時の歩数を低下させる可能性が示唆された。

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© 一般社団法人日本栄養・嚥下理学療法学会
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