2025 年 2 巻 1 号 p. 8-16
【目的】大腿骨近位部骨折患者の入院時の口腔機能が術後2週時の歩行能力に影響しているかを明らかにすること。【方法】対象は、大腿骨近位部骨折術後の118例とした。口腔スクリーニングに該当し、口腔機能評価ツールOral Health Assessment Tool日本語版(以下、OHAT-J)で評価した2群および、口腔スクリーニング実施後、項目に該当しなかった問題なし群の3群間で比較した。また、術後2週時の歩行能力に関連する要因を検討した。【結果】問題なし群は、術後2週時に歩行器歩行自立だった割合が39例(57.4%)であった。多変量解析にて問題なし群を対照とした結果、術後2週の歩行器歩行自立にOHAT-Jで評価した口腔機能が独立して関連していた[軽度不良群(OR = 3.07、95%CI = 1.04-9.08、p < 0.05)、重度不良群(OR = 3.30、95%CI = 1.02-10.70、p < 0.05)]。【結論】本研究では、問題なし群を対照とした場合、術後2週時の2値で評価した歩行能力へ口腔機能が影響する可能性があることが示された。