日本鳥学会誌
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原著論文
池沼におけるガン・ハクチョウ類の食物としてのマコモの重要性と種による採食方法の違い
渡辺 朝一渡辺 央山本 明清水 幸男
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2008 年 57 巻 2 号 p. 97-107

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抄録

1997年11月から1998年2月にかけ,日本国内の12の池沼でガン・ハクチョウ類の食物内容を調査した.オオヒシクイ,オオハクチョウ,コハクチョウは,複数の池沼で水草を採食しているところが多く記録された.この三種類とも,マコモの地下茎が池沼における食物内容の50%以上を占めていた.ヨシやヒメガマ,沈水植物に対する採食行動はごくわずかであり,これらの種のガン・ハクチョウ類に対する食物資源としての重要性は低いものと思われた.オオヒシクイ,オオハクチョウは頻繁に池沼で採食する種であり,マガンはあまり池沼で採食しないものと考えられた.コハクチョウも複数の池沼で採食が記録されたが,越冬個体数の多い越後平野での記録が比較的少なく,多くの個体群は池沼であまり採食しないようであった.マコモの地下茎に対する採食方法では,オオハクチョウでは水面での採食が,コハクチョウでは地上での採食が多く記録され,マコモの生育条件により利用者が異なる可能性が示された.

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