抄録
針葉樹人工林への広葉樹や草本植物の侵入に種子散布者として関わる鳥類を明らかにするために,スギ人工林内とその周辺で鳥類を捕獲し糞を採取した.秋~冬季には5種9個体の糞から無傷の種子が出現し,ルリビタキErithacus cyanurusの糞からイズセンリョウMaesa japonicaとフユイチゴRubus buergeriの種子,シロハラTurudus pallidusからヒサカキEurya japonicaとムラサキシキブCallicarpa japonica, ハダカホオズキTubocapsicum anomalum,ソウシチョウLeiothrix luteaからヒサカキ,ウグイスCettia diphoneからフユイチゴ,メジロZosterops japonicusからツルウメモドキCelastrus orbiculatusの種子が出現した.春~夏季にはカケスGarrulus glandariusからナガバモミジイチゴRubus palmatus var. palmatusの種子が出現した.これらのことから,これら6種は針葉樹人工林において種子散布者としての役割を持つと考えられた.