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日本鳥学会誌
Vol. 59 (2010) No. 1 P 3-19

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http://doi.org/10.3838/jjo.59.3

総説

鳥類は最も機動性の高い動物群であり,自然条件下で個体の生理,行動,生態に関する情報を得るのは困難な場合が多い.この問題を解決するため,動物自身に装着した小型記録計を用いて,自由に動き回る動物の研究を行うバイオロギング技術の開発が進められてきた.バイオロギングは1970年代に単純な潜水深度の記録計から始まり,海鳥類の驚異的な潜水能力を明らかにしてきた.現在,動物装着型記録計は,多様化,小型化が進み,潜水性海鳥類のみならず,鳥類全般での生物学的な研究に利用可能な技術となっている.本論文では,バイオロギングを用いた鳥類研究の最近の進展を,移動,採餌,運動性能,生理状態,認知,社会行動,外的環境の7つの研究分野にわたってレビューした.またバイオロギングが直面する現状における課題,将来の方向性として,記録計の小型化と装着・回収方法の改良,時空間的に相関した大量データを適切に解析する手法の開発,個体ベースで情報が得られる他の研究手法との併用,分野横断的な研究の推進,を取り上げて論じた.バイオロギングによって開ける新しい研究領域は,バイオメカニクス,生理学,行動学,生態学といった既存の学問分野を個体レベルで統合する可能性をもち,自然環境における鳥類の理解を深めることに役立つだろう.

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