2013 年 62 巻 1 号 p. 31-37
北海道十勝地方の農地を繁殖期に利用する鳥類を,隣接するエンバク圃場とバレイショ圃場および防風林の約10.5 haの農地で調査した.合計26種のべ1,252個体が出現したが,営巣行動がみられた種は3種だった.最も優占し,なわばりを推定できた唯一の種はヒバリAlauda arvensisであり,その密度は平均0.36つがい/haであった.鳥類相の多様度はエンバク圃場とバレイショ圃場で低くなり,防風林で高かった.エンバク圃場とバレイショ圃場間の鳥類相の類似度は高く,両者と防風林との類似度は低かった.圃場に営巣するヒバリは,作物が成長する6月中旬まで繁殖が遅れ,繁殖の機会が減少している可能性が示された.