国内7か所のガンカモ類の集団飛来地において,ガンカモ類の群れに向かって様々な高度でドローンを水平に接近させる試験と,群れの真上から垂直に接近させる試験を行い,ガンカモ類の反応を調査した.また,離陸したドローンに対するガンカモ類の反応と,離陸地から群れまでの距離の関係を解析した.その結果,飛行高度が低いほど,また近距離で離陸させるほど逃避が生じる傾向があることが示唆された.群れの大きさについては,本研究ではガンカモ類の逃避反応の有意な要因であるとは言えなかった.逃避が見られた機体高度や機体離陸地から群れまでの距離を水面と陸上で比較した結果,マガンAnser albifronsでは有意差が認められ,陸上の群れを対象に調査する場合,水面の群れよりも遠方から,より高い高度でドローンを飛行させる必要があることが示唆された.また,鳥種で比較した結果,カモ類はマガンやハクチョウ類に比べ,接近するドローンから逃避せずにその場に留まる群れが多いことが示唆された.群れの撹乱リスクが小さい飛行高度で,概ね調査目的を達成できる画像解像度が得られることから,ドローンはガンカモ類の調査に活用可能なツールであると考えられた.