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奈良盆地におけるサギ類の集団繁殖地と塒の配置および採食範囲
山岸 哲井上 良和米田 重玄
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1980 年 29 巻 2-3 号 p. 69-85

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抄録
(1)1976年8月から1977年9月まで,奈良盆地において,コサギとアマサギの集団繁殖地と塒の位置および採餌範囲を調査した.
(2)集団繁殖地は1か所であり,コサギ(約1,200羽),アマサギ(約670羽),ゴイサギ(未調査)が利用していた.
(3)日中,集団繁殖地から最も遠い所で発見されたコサギとアマサギはそれぞれ25.6km,27.0kmの地点であった.
(4)採食のために日中分散するコサギとアマサギの45.7%(285羽)は,集団繁殖地から半径5km以内に分布していた.
(5)コサギは川沿いに単独で,アマサギは耕地に群れで採食している傾向があった.
(6)冬季にはほとんどすべてのアマサギが渡去し,コサギが残った.塒は集団繁殖地を含む6か所に分散した.
(7)これら6か所の塒に集結するコサギの個体数は合計約1,400羽であった.
(8)冬季(1976年11月21日-1977年1月13日)に存在した4か所の塒から半径5km以内に65.3%(810羽)のコサギが日中分散していた.
(9)奈良盆地のコサギ•アマサギの個体数推定のしかたおよびコサギとアマサギの採食分散のしかたの違い,さらにまた冬季に塒が分散する原因について若干論議した.
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© 日本鳥学会
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