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ツル卵白の電気泳動的ならびに血清学的解析
宗近 功渡辺 誠喜
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1981 年 30 巻 1 号 p. 17-22

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抄録
ツル科鳥類の卵白の特性を明らかにするために,電気泳動的ならびに血清学的関係について分析した.供試したツル類の卵白は,タンチョウ(Grus japonensis),マナヅル(G.vipio),およびクロヅル(G.grus)である.分析法は,ポリアクリルアミドゲルによるスラブ電気泳動法,ならびに各卵白を家兎に免疫して得られた抗血清を用いた沈降反応重層法および免疫電気泳動法である.その結果は次のように要約される.
(1)ツル類卵白質はポリアクリルアミドゲルによるスラブ電気泳動法により7つの泳動域に分離された.
(2)このうち,タンチョウの ovomucoid,conalbumin および x-protein は他2種より易動度が大であり,またマナヅルの卵白の conalbumin は他2種のものより易動度が大であった.しかし,これらの差異は種内における変異の可能性もある.
(3)卵白に対する抗血清を作製し,沈降反応重層法により検討した結果,クロヅルの卵白の抗血清の抗体価は128倍,またこれに対する抗原価は92,000倍であり,他2種の抗血清間も同程度の反応を示し,これらの間の差異は認められなかった.
(4)各抗血清を用いた免疫電気泳動法により検討したところ,各抗血清間および3種卵白間に差異は認められなかった.また,各抗血清の吸収試験の結果も,3種のツル卵白内に抗原性の差異は認められなかった.
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