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セッカ Cisticola juncidis の造巣活動と求愛巣の諸特性
上田 恵介
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1985 年 34 巻 2-3 号 p. 23-31

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抄録

1978年から1982年にかけて大阪府和泉市信太山丘陵においてセッカ Cisticola juncidis のオス個体群を個体識別し,その求愛巣の造巣活動を調べた.
(1)なわばりオスは渡来の約1か月後から造巣活動を開始し,8月の下旬まで巣をつくり続けた.造巣活動は終日行われた.
(2)ほとんどのオスは,メスにうけいれられなかった古い巣をこわし,新しい巣の材料に使った.この行動は巣材であるクモの卵嚢の不足によるものと思われた.
(3)巣は主にイネ科植物の生の葉を綴ってつくられていた.発見した639巣のうち,メリケンカルカヤにつくられたものが41.9%,チガヤが34.0%,ススキが11.3%であった.
(4)巣は平均して地上から約20cmのところに造られていた.巣の高さは季節とともに高くなる傾向がみられた.
(5)巣の入口は主として東向きであった.この傾向は西風による草の傾きによるものと思われた.
(6)1これらの結果は,長野(母袋,1973)や兵庫(小林,1983)での観察にほぼ一致した.

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