日本鳥学会誌
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セグロセキレイの一夫二妻におけるつがい関係と雌間の排他性
大迫 義人山岸 哲
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1989 年 37 巻 3 号 p. 89-101

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抄録

1)1983年から1986年に,京都市大原地区でセグロセキレイの配偶行動について調査した.
2)225回の繁殖試みのうち,多くの雄は一夫一妻であったが,4羽の雄は計5回(2.2%)一夫二妻で繁殖した.
3)一夫二妻は,配偶雄をなくした雌が隣のペア雄に囲まれて起こる場合(3例)と,ペアなわばり内に新しい雌が入うてきて起こる場合(1例)との,2つのパターンがあった.
4)一夫二妻の2羽の雌を同時に観察すると,各々の雌が空間的•時間的に排他しあっているか,第一雌が第二雌に優位な行動をとっている,ことがわかった.
5)一夫二妻の雄は,各々の雌と交互に連れ添って他の雄から護衛していたが,第一雌とより長く連れ添っていた.
6)一夫二妻の雄は,第二雌の雛への給餌を殆ど手伝わなかったために,第二雌の繁殖成功度が低かった.これが,セグロセキレイで一夫多妻が起こり難い理由の1つであろう.
7)雌同士は,雄からの子育ての投資を得るために,排他的になると考えられる

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