1)帯広市の都市部の公園5か所と帯広畜産大学構内2か所の計7か所で,1986-88年に植生(樹木種数,樹木密度,基底面積密度,樹冠うっ閉度,地表の植被率)と鳥類の調査を行なった.
2)調査地では繁殖期に38種,非繁殖期に30種の鳥類が観察された.
3)樹木密度,樹冠うっ閉度の低い所で,繁殖期の主要種はバクセキレイ•スズメ•カワラビワ•ハシボソガラスなどで,樹木密度•樹冠うっ閉度が高くなるにしたがって,バクセキレイが減少し,アカゲラ•ヒヨドリ•アカハラ•エナガ•ハシブトガラ•シジュウカラ•シメ•コムクドリなどが多くなった.
4)非繁殖期の主要種はスズメとハシボソガラスのほか,アカゲラ•ヒヨドリ•ツグミ•エナガ•ハシブトガラ•ヒガラ•シジュウカラ•ゴジュウカラなどで,灌木•草原性鳥類は非常に少なかった.
5)繁殖期には樹木密度,樹冠うっ閉度などの増加にともない,全体の種数,森林性鳥類の種数と観察個体数は多くなり,種多様度が高くなったが,非森林性鳥類の個体数は減少し,なかでも灌木•草原性鳥類は全般に少なくなった.
6)非繁殖期には樹木密度が高くなるにしたがって森林性鳥類の種数が多くなり,森林性鳥類の種数は減少したが,植生と鳥類の個体数または種多様度との間には関連が認められなかった.
7)繁殖期•非繁殖期ともに地表の植被率と鳥類の生息状況との問には関連が見られなかった.