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日本鳥学会誌
Vol. 40 (1991-1992) No. 2 P 51-65

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http://doi.org/10.3838/jjo.40.51


1) 1990,91年の繁殖期に新潟県妙高高原において,190個体(うち成鳥80個体)のウグイスを個体識別して,婚姻形態の解明を目的とした調査を行った.
2) 1991年,118haのセンサス調査区では,踏査の際10-14個体(x=11.7,n=9)のなわばり雄が確認された.同調査区ではシーズン全体で35個体のなわばり雄が確認された,なわばり雄の交代は頻繁に起こっており,なわばりは短期間しか維持されなかった.
3) 他のなわばりにさえずることなく侵入する雄が見られた.詳細に調査した1なわばりでは,20例の侵入が確認され,このうち15例が放浪雄によるものであった.
4) 雄のなわばり内で同時期に複数の巣が発見されることがあり,精密に調査した1なわばりでは,1シーズンに6ないし7雌によって7巣が営まれた.
5) 造巣,抱卵,育雛はすべて雌のみによって行われ,捕食者に対するモビング,巣外育雛を含め,雄は一切の子の世話を行わなかった.
6) 捕食によるものと推定される繁殖失敗が多かった,第2繁殖を含めて,雌は再繁殖の際に雄のなわばりを変える傾向があった.
7) 詳細に調査した1なわばりでは21個体の雌が確認され,雄にとってどの時期でも配偶可能な雌が供給されやすい環境であることが示された.
8) 営巣雌の行動範囲は雄のなわばりに比べてかなり狭く,結果的に雌がなわばり外で行動することは少ないものと考えられた.また,同一なわばりに営巣した雌間の行動圏は重複しており,排他的な行動は見られなかった.
9) なわばり雄と営巣雌間には,求愛以外に接点が観察されなかった.雄のさえずり頻度にも営巣雌のステージと対応した変化は見られず,雌に対する雄の追尾行動も観察されなかった.
10) これらのことから,ウグイスは番い関係がきわめて希薄な一夫多妻の婚姻形態をもつものと考えられた.

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