日本鳥学会誌
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札幌市内のビル広告塔でムクドリ Sturnus cineraceus のフンを食するハギマシコ Leucosticte arctoa
竹中 万紀子
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1992 年 40 巻 2 号 p. 77-79

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抄録

著者は札幌の繁華街(狸小路)のビル屋上広告塔をねぐらとする約2,000羽のムクドリのフンを1991年11月から5-7日毎に採集している.1991年12月に1群のハギマシコをこの広告塔で初めて目撃した.その後1992年1月から3月まで,ハギマシコはムクドリのフンを探索採食していた.直接観察に加え,VTRで日中と早朝に採食行動を撮影した.画面上に現れたハギマシコの最大羽数は17であった.早朝の撮影では,あたりが薄暗くムクドリがまだねぐらにいる頃からハギマシコはフンを採食し始めた.夕方のムクドリのねぐら入りの際にもハギマシコはムクドリの群に驚いて飛び立ち,ムクドリが落ち着くと再び広告塔にとまり直した.これらの観察からこの時期,このハギマシコ群はムクドリのねぐらである広告塔周辺で一日の大半を過ごし,フンを採食している可能性が高い.この時期のムクドリのフンには主にナナカマド,コリンゴ類,ツタ,イチイの果実片が含まれていた.この群は3月17日まで広告塔でフンを採食するのが観察された.スズメ目の1鳥種が同目種のフンをかなりの割合で食するという報告は,本報告がおそらく最初であろう.

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