日本鳥学会誌
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ゴイサギ(Nycticorax nycticorax)の繁殖期の日周活動と採餌場の利用
遠藤 菜緒子佐原 雄二
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2000 年 48 巻 3 号 p. 183-196

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抄録

津軽地方におけるゴイサギの繁殖期の採餌生態を日周活動性,採餌場利用及び餌内容という点から調べた.本調査地のゴイサギは,非繁殖期には夜行性の活動パターンを持っていたが,繁殖期には日中への採餌時間の拡張がみられた.農業用水路などを含む水田と河川とを主要な採餌場としており,河川ではとりわけ魚道•堰堤に強く依存していた.魚類が主要な餌であり,特にドジョウは個体数において最も多く,繁殖期を通して採餌されていた.日中と夜間との間での餌内容の比較と,日没時コロニーでの飛去•飛来方向の分布の比較とから,夜間は水田地帯,日中は河川での採餌が相対的に多くなるという,日中と夜間とでの採餌場のスイッチングをしていることが示唆された.水田地帯由来の魚類は夜行性,逆に河川由来の魚類は昼行性の日周活動性を持つ傾向があるので,水田地帯では夜間に,河川では日中に採餌がしやすいたあと考えられる.以上のことから本調査地のゴイサギは,主要な採餌環境である水田地帯と河川とを夜間と日中とで使い分けている可能性を論じた.

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