日本鳥学会誌
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朝鮮半島中東部の落葉広葉樹林における森林構造と鳥類群集の関係
任 信在李 宇新
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2000 年 49 巻 1 号 p. 31-38,65

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抄録

森林伐採による落葉広葉樹林の変化がもたらす鳥類群集の変化について研究を行った.調査は江原道の平昌国有林内の落葉広葉樹林で(N37°27′,E128°29′),1996年4月から6月の間に行った.鳥類群集の特徴と鳥類のニッチを調べるため,森林伐採の程度が異なる3地域(各8ha)を選び,鳥類のなわばりを地図上に記録した.各地域で,植生の特徴,生息場所の垂直構造(葉層高プロフィール),胸高直径(DBH)を測定した.調査地内の優占樹種は Quercus mongolica, Ulmus davidiana, Acer mono, Fraxinus rhynchophylla の4種であった.垂直構造は3地域で互いに異なっていた.樹木密度,樹種多様度,DBH分布は伐採程度が進むにつれて低下した.鳥類種多様度,繁殖密度,種数,ギルド構造は3地域で異なっていた.伐採の無い自然林では樹洞営巣,樹冠採餌ギルドが多く,ヤブ営巣,ヤブ採餌ギルドは伐採が一部行われている森林で最も多かった.本研究により,森林構造が鳥類群集を決定する重要な要因であることが示唆された.それゆえ,鳥類群集やその生息場所の保全のため,森林管理において森林構造と鳥類群集との相互作用を考慮する必要がある.

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