保健医療領域において1950年代から始まったランダム化比較試験(RCT)の総数は60万件を越えた。1990年代中頃以降の世界的なエビデンスに基づく医療(EBM)の動きの中で、改めてRCTに対する関心が増大している。一方、このEBMの動きの中で、いくつかの課題が同定されそれに対する解決策も開発された。これらの課題は、既報で紹介したエビデンスを「つくる」局面というよりむしろ、「つたえる」と「つかう」局面で浮上したものであった。本稿では「つたえる」局面での、RCTの報告の質向上のためのCONSORT声明とその多方面への展開、および「つかう」現場における叙述的情報やpost-RCTのひとつの流れとしてのベストケースについて紹介し、さらに、投資に対する継続的評価の必要性および患者や市民の役割についての最新動向についても触れた。