抄録
わが国では1990年代半ば以降今日に至るまで、多くの地方自治体において行政評価システムが急速に導入されてきた。この間、評価の制度的導入という点では一定の定着が見られたが、事業担当課職員の間には評価制度に対する「やらされ感」や「負担感」が依然として根強いといった深刻な問題を抱えている。そこで、近年筆者はこうした実践的課題に対処するため、創造型政策評価(Creative Policy Evaluation:CPE)を提案している。本研究ではCPEを現実の行政過程に導入し、その効果を職員へのアンケート調査によって検証した。その結果、評価目的の理解、論理的思考方法や評価指標の導出方法の習得、評価における職場議論の方法の習得という点で統計的に有意な差が見られた。さらに評価過程における職場議論が活発であるかどうかがどのような因子によって決定されるかについても分析したところ、ファシリテーターが議論の場を適切にマネジメントしたかどうかに最も大きく依存していることが明らかとなった。