日本評価研究
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特集:国の府省の政策評価のパラダイム転換に向けて
政策効果の把握・分析手法の実証的共同研究の事例
-令和3年度研究「農山漁村振興交付金」及び「在外教育施設に派遣された教師に係る派遣効果」について-
菊池 明宏
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2023 年 23 巻 2 号 p. 61-73

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抄録

 総務省(行政評価局)では、「政策効果の把握・分析手法の実証的共同研究」に平成30年度から取り組んでおり、本稿では、行政評価局が行った令和3年度の実証的共同研究「農山漁村振興交付金」及び「在外教育施設に派遣された教師に係る派遣効果」を紹介する。

 「農山漁村振興交付金」は、農山漁村振興交付金が、農山漁村の活性化にどの程度寄与しているか、活性化に向けた効果の発現経路を整理した上で、交付地域と未交付地域の比較等により効果を定量的に検証するとともに、交付の効果をより高めるための方策等について検討したものである。検証の結果、「雇用のある農業経営体数」が向上すること等が確認された。

 「在外教育施設に派遣された教師に係る派遣効果」は、日本人学校等の在外教育施設に派遣された教師は、現地での多様な活動等を通じて能力等を向上させているとみられることから、派遣経験のない教師と比較して、どのような能力等を向上させているか、派遣先の環境や派遣先での取組による効果の違いはあるか等について、定量的に効果の違いを検証したものである。検証の結果、派遣教師は、非派遣教師と比較して、カリキュラム・マネジメント能力、多文化・多言語環境における指導能力について、能力を伸ばしていることが確認された。

 本研究により、政策効果の検証方法は可能な限り政策形成の段階で検討し、必要なデータ収集・整理を事業実施の中で行うことが重要、などの示唆を得た。

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