抄録
近年のミレニアム開発目標に示される成果主義の定着と被援助国のオーナーシップとパートナーシップを重視する援助理念は、援助協調を強く推進する動きとなっている。これに伴って援助機関は、従来の各援助機関の援助の有効性 (aid effectiveness) を検証する評価から開発の有効性 (development effectiveness) を検証する評価へと視点を変えることが求められており、そのツールとして合同評価が推進されている。現在実施中の「途上国の基礎教育に対する支援についての合同評価」は、援助全体のプログラム・ロジックとその有効性を検証することで、今後の被援助国、援助機関双方の政策を改善する試みである。本合同評価により、最終目標にたどり着くまでのプロセス指標や中間成果の明確化、プログラム・ロジックの抽出による今後の援助政策への有効な教訓、政策を実施する上での多様なステークホルダーの認識や関係性の分析などが期待される。このように合同評価は、実施上の課題を抱えつつも、援助全体および各援助機関の政策の適切性の向上、援助の戦略性と有効性の向上、関係者の政策対話の強化に向けて、重要な役割を果たしうると考えられる。