家族社会学研究
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居住地の都市度と親族関係
下位文化仮説, 修正下位文化仮説および少子化仮説の検討
松本 康
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2005 年 16 巻 2 号 p. 61-69

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抄録

本研究では居住地の都市度と親族関係に関する3つの仮説を検討する。下位文化仮説は, 都市度の増大がネットワークの選択性を増大させることによって, 親族関係を減少させると予測する。修正下位文化仮説は, この効果は当該都市圏出身者にのみ当てはまると主張する。少子化仮説では, それは, 都市では子ども数やきょうだい数が少ないためであると主張する。名古屋都市圏調査のデータを分析した結果, 婚姻状態と学歴の効果を調整しても居住地の都市度が増すにつれて親しい親族数が減少するが, この効果は地元都市圏出身者にのみ当てはまり, また, 少子化によっては説明しきれないことが明らかになった。よって, 修正下位文化仮説がデータによって支持されたが, さらなる吟味をとおして, この条件付きの都市度効果は, ネットワーク全体の選択性の増大によるものではなく, むしろ親族の地理的拡散による拡大親族集団からの解放を意味することが示唆された。

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