家族社会学研究
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ムスリム家族における国境を越えた家族形成
教育戦略に対する社会関係資本の影響を中心にして
竹下 修子
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2007 年 18 巻 2 号 p. 82-91

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抄録

近年, 外国人ムスリムの父親と日本人の母親をもつ子どもたち (CCK) の教育問題が顕在化しており, 子どものイスラーム教育のために母親と子どもがイスラーム圏に移住し, 父親は仕事のために日本に残るケース, すなわち国境を越えた家族が増加傾向にある。本稿では, 日本で子どもにイスラームの価値観を伝えることの困難さを概観したうえで, 母子が第三国であるアラブ首長国連邦のシャルジャに移住した夫パキスタン人・妻日本人の家族の事例分析を行った。日本とシャルジャを結ぶ親族ネットワーク・ビジネスネットワーク, およびシャルジャ移住後に形成された日本人ムスリマ・ネットワークを社会関係資本として, 教育戦略がいかに展開されているかについて考察し, ムスリム家族のトランスナショナルな社会空間を明らかにした。

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