音楽教育学
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研究論文
サンプリングの手法を用いた創作活動の教育的意義
― 音素材の加工, 創作用ソフトの活用の観点から ―
木下 和彦金崎 惣一
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2018 年 48 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

 サンプリングはミュージック・コンクレートに由来する音楽創作の手法であり, 日本の音楽教育においても創作実践に用いる試みが行われてきた。一方, スマートフォンや創作用ソフトの普及といった音楽実践環境の動向を踏まえ, サンプリングを手法とする実践が有する教育的意義と可能性を再検討する余地がある。本稿では, 大学生を対象にスマートフォンや創作用ソフトを用いたサンプリングに基づく創作実践を行い, 創作された楽曲及び参加者への事前・事後アンケートを分析した。結果, 創作用ソフトの機能は, 音素材の加工及び楽曲構造の可視化, 反復的な聴取を可能にすることが確認された。また, これらの機能に立脚した当実践は, 創作者の音楽観を拡張させること, 音楽のしくみに関する学びを得ることが出来ること, 音風景自体を主体的に操作可能な対象として加工し, 自ら求める音を探求出来ることに教育的意義が見出された。

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© 2018 日本音楽教育学会
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