音楽教育学
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研究論文
  • 木下 和彦, 金崎 惣一
    2018 年 48 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/08/31
    ジャーナル フリー

     サンプリングはミュージック・コンクレートに由来する音楽創作の手法であり, 日本の音楽教育においても創作実践に用いる試みが行われてきた。一方, スマートフォンや創作用ソフトの普及といった音楽実践環境の動向を踏まえ, サンプリングを手法とする実践が有する教育的意義と可能性を再検討する余地がある。本稿では, 大学生を対象にスマートフォンや創作用ソフトを用いたサンプリングに基づく創作実践を行い, 創作された楽曲及び参加者への事前・事後アンケートを分析した。結果, 創作用ソフトの機能は, 音素材の加工及び楽曲構造の可視化, 反復的な聴取を可能にすることが確認された。また, これらの機能に立脚した当実践は, 創作者の音楽観を拡張させること, 音楽のしくみに関する学びを得ることが出来ること, 音風景自体を主体的に操作可能な対象として加工し, 自ら求める音を探求出来ることに教育的意義が見出された。

  • 杉田 政夫
    2018 年 48 巻 1 号 p. 13-24
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/08/31
    ジャーナル フリー

     近年, 欧米を中心に音楽教育の「社会正義」論が活況を呈している。本稿は, 哲学的背景を異にしつつも深く関連する下記3論文を検討し, 音楽教育における社会正義論の意義や重層性を提示することを目的とした。ヴォジョア (2007) は当該領域における社会正義の理論的源泉となってきたリーマー, エリオット, ウッドフォードの著述を取り上げ, 近代主義, リベラリズムの傾向を, ポストコロニアル批評を基軸に批判した。デイル (2012) はデリダの脱構築に立脚してリーマー, ウッドフォードを論評し, また自らの実践を例に正義の (不) 可能性を描出した。ウッドフォード (2012) はリベラル民主主義論に依拠して米国音楽教育史を政治分析し, リーマーや美的教育論の批判を展開した。いずれも社会・文化的「他者」への関わりに焦点化しており, 「多文化主義」には批判的論調であった。また音楽の社会的, 政治的機能やその問題を音楽教育の文脈で扱うことの重要性が示唆された。

研究報告
  • 中川 郁太郎
    2018 年 48 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/08/31
    ジャーナル フリー

     本研究報告は, 第二次世界大戦後40年に亘って続いたドイツ民主共和国 (旧東ドイツ) において, 伝統的な西洋音楽の専門教育がどのようになされたのかを, 特に声楽家の育成に着目し, 先行研究および資料の調査とインタビューとを通して, その一端を明らかにする試みである。第1章においては, 旧東ドイツ時代の音楽専門教育に関する先行研究をたどり, 第2章2. 1では, 資料から確認できるワイマール高等音楽学校の事例を参照し, 旧東ドイツの音楽専門教育の歴史を概観する。2. 2および2. 3では, 声楽教育に関する一次資料である, 元ライプツィヒ高等音楽学校教授ヘルマン・クリスティアン・ポルスターへのインタビューをもとに, 高等音楽学校の中で日常的におこなわれていた教育の在り方を検証する。第3章ではそれらを通して, 実効性ある音楽専門教育はいかにして可能か, という問題研究への端緒を拓くとともに, 今後の研究課題に言及する。

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