2024 年 32 巻 1 号 p. 101-104
産業精神保健の未来に起きうることとして,生産年齢人口の減少による人的資源の減少と,高齢化により家族の介護が生じる人口の増加がある.そのことに伴い,私生活と仕事との両立に悩む個人,会社・組織が増えると考える.
個人のSustainabilityを支えることで個人のAgilityを発揮できるようにすることが,結果的に個人の集合体である組織・会社のAgilityとSustainabilityの維持・向上につながると考える.産業精神保健における心理職は,心理学の専門的知識や技術を用いて心身ともに健康で働くことを支援し,個人と組織・会社の心理面をつなげる役割である.個人のSustainabilityを支える支援をしていき,個人が資源を有効活用して,私生活と仕事を両立しながらいきいきと働くことができること,両立の視点を持ちながらメンタルヘルス対策の提案・職場環境づくりを支援し,組織・会社が的確で素早く対応ができることを多職種と協働・連携しながら共に考えることが大事である.