アルコール依存症の歴史を辿れば,1784年にBenjamin Rushが「飲酒への渇望」や「制御困難を記述し,以降神経生物学的基盤を背景にしたアルコール依存症の疾患モデルの確立や,「自己治療仮説」に示される心理的要因など多様なバックグラウンドが指摘されている.
現在に視点を移すと,DSM5またICD-11(原稿作成時点では正式な和訳は未公開である)のアルコール関連疾患の操作的診断基準を見ると,アルコール問題がより軽症の群にも早期介入や支援を積極的に行っていく姿勢や,アルコールによって引き起こされる他者への害への注目が反映されている.アルコールによって引き起こされる問題は,200以上の疾患や怪我の原因の要素になっていると指摘されており,健康への多大な影響を生じ得る.早期介入や連携が重要視される中,SBIRTSが様々なフィールドで問題飲酒のある人々をスクリーニングし,簡易介入への導入,また専門医療機関や自助グループへの紹介の方法として注目されている.
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