産業精神保健
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特集 働き方改革における労働時間規制・過労死等防止と「2024年問題」
  • 田原 裕之, 吉川 徹
    原稿種別: 特集
    2025 年33 巻4 号 p. 211-214
    発行日: 2025/11/20
    公開日: 2025/11/20
    ジャーナル フリー
  • 高見 具広
    原稿種別: 特集
    2025 年33 巻4 号 p. 215-219
    発行日: 2025/11/20
    公開日: 2025/11/20
    ジャーナル フリー

    時間外労働の上限規制などの働き方改革は,過重労働防止,ワーク・ライフ・バランスの実現,ダイバーシティ経営の必要性,ホワイトカラー労働の生産性向上など,様々な面から現代において求められるものである.働き方改革として,近年,企業では,定時退勤(ノー残業デー)の徹底や,PCのログイン・ログアウトの記録等による労働時間の把握・管理の厳格化,残業の上限時間に係るアラート等による管理,強制消灯等で残業に物理的な制約を課すなどの残業削減の取組みが行われている.今後の課題もある.ひとつには,企業内で働き方改革を進める上で,業務効率化や管理職の業務負荷などの問題に対処が必要なことである.同時に,企業都合に合わせた働き方を社員に求める日本的雇用システムや,業界の慣行も変革を迫られている.

  • 水島 郁子
    原稿種別: 特集
    2025 年33 巻4 号 p. 220-224
    発行日: 2025/11/20
    公開日: 2025/11/20
    ジャーナル フリー

    労働基準法における労働時間の一般規制には,最長労働時間規制,労働からの解放規制,割増賃金規制の3つがある.前2者は,労働者の健康確保に直接的に資する.2019年働き方改革により,罰則付きの時間外・休日労働の上限規制が導入され,最長労働時間規制における歴史的な改革の一歩となった.2024年には,これまで適用が猶予されていた事業にも規制が及び,自動車運転者の労働時間等の改善のための基準告示が改正された.同告示は,拘束時間と休息期間の基準を示している点で注目される.労働者の健康確保の観点から今後の労働時間法制を展望すると,労働の「オン」に関する最長労働時間規制と,「オフ」に関する労働からの解放規制の双方が重要であり,後者は見直しの可能性がある.定期的な休日を確保できる規制や勤務間インターバル制度(休息時間)の義務化に向けた,労働基準法改正が望まれる.

  • 佐々木 毅, 吉川 徹, 田原 裕之
    原稿種別: 特集
    2025 年33 巻4 号 p. 225-231
    発行日: 2025/11/20
    公開日: 2025/11/20
    ジャーナル フリー

    平成26(2014)年6月に過労死等防止対策推進法が成立し,平成27(2015)年7月に過労死等の防止のための対策に関する大綱(以下,大綱)が策定されたことにより,独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所に過労死等防止調査研究センターが設置され,脳・心臓疾患と精神障害に係る過労死等労災事案を収集・集約し,分析を行い,報告してきた.近年,業務災害に係る精神障害に関する労災補償は請求件数,支給決定件数とも急増しているところであるが,本稿では,精神障害に係る過労死等労災事案について平成22(2010)~令和4(2022)年度の過労死等データベースを用いた分析結果を紹介する.具体的には性別,年齢層,自殺,疾患といった属性についての経年推移,特に,業種(大分類/中分類)別や大綱で挙げられた重点業種等別の心理的負荷による出来事の特徴である.

  • 田島 麻琴
    原稿種別: 特集
    2025 年33 巻4 号 p. 232-235
    発行日: 2025/11/20
    公開日: 2025/11/20
    ジャーナル フリー

    働き方改革やコロナ禍を経て,働き方は大きく変化したが,依然として長時間労働の課題は残っている.こうした現場での長時間残業者への支援の変化について,日頃の実践を通して産業看護職の視点から紹介し,考察した.オンライン面談の普及やITを活用した管理体制の整備によって長時間残業者支援の効率化が進む一方で,従業員の変化に気づく力の低下が懸念される.このため,長時間労働の面談対象者だけでなく,職場全体の業務状況や人間関係など,組織的な視点での支援が重要であると考える.変化の時代だからこそ産業看護職の立場で,職場や対象者の声を拾い人事・勤労との連携を強化し,職場全体の健康支援に取り組む必要がある.

  • 吉川 徹, 中辻 めぐみ, 呉地 祥友里, 中西 麻由子
    原稿種別: 特集
    2025 年33 巻4 号 p. 236-242
    発行日: 2025/11/20
    公開日: 2025/11/20
    ジャーナル フリー

    2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用された.建設業は重層下請構造や厳しい納期圧力等により,施工管理者など特定の職種に過重労働が常態化しやすい.さらに災害復旧や復興関連業務では労働基準法第33条第1項・3項に基づき労働時間の上限規制が適用外になることも留意を要する.2024年度に労災認定された建設業の精神障害・自殺事案は81件(全体の7.7%)であり,特に自殺の割合は他業種より高い.建設業におけるいわゆる「2024年問題」は単なる労働時間の削減にとどまらず,工期のあり方,人材構成,働き方の再構築という三層の構造転換を迫るものであった.産業精神保健の観点からは,過重労働による疲弊性うつ病のみならず,災害体験や対人ストレスなど複合的リスクへの対応が必要である.産業保健専門職には,①時間と健康の両立支援,②災害後の心理ケア,③多層下請構造の理解と支援,④中小事業場支援,⑤人材定着と経営支援等の視点から,現場・経営・労働者をつなぐ実践的機能が期待される.

  • 中西 麻由子
    原稿種別: 特集
    2025 年33 巻4 号 p. 243-249
    発行日: 2025/11/20
    公開日: 2025/11/20
    ジャーナル フリー

    運輸業は国内物流・旅客輸送を支える基幹産業であるが,主力である貨物運送業の多くは中小事業者であり,長時間労働・不規則勤務・高齢化・人手不足など難しい労働環境にある.過労死等の労災認定件数は依然高水準で,脳・心臓疾患や精神障害の発生率も高く,健康起因事故も近年増加傾向にある.精神障害の背景には長時間労働,パワーハラスメントや顧客からの迷惑行為,交通事故や災害体験によるPTSDなどがある.対策としては,働き方改革による労働時間規制,健診結果を活用した脳・心臓疾患予防,ハラスメント対策,事故後のケア体制の強化が重要である.加えて,産業保健サービスが届きにくい中小事業場に対し,セルフチェックシートや訪問型BOHSの導入など現場に即した支援を展開している.今後は経営者と産業保健職が連携し,働きやすい職場づくりを通じて過労死等防止を推進することが求められる.

  • 藤川 葵
    原稿種別: 特集
    2025 年33 巻4 号 p. 250-255
    発行日: 2025/11/20
    公開日: 2025/11/20
    ジャーナル フリー

    2024年4月に施行された医師の時間外・休日労働規制では,一部の医師に年1,860時間までの長時間労働を認める特例が設けられ,その健康リスクを補うため追加的健康確保措置が導入された.とりわけ月100時間以上の時間外・休日労働が見込まれる医師に対する面接指導は,睡眠や休養の状況を重視し,睡眠負債を把握する視点を取り入れた点に特徴がある.さらに,精神運動覚醒テスト(PVT)等の活用や,面接指導実施医師の効果的な養成や実技研修によって制度の実効性向上が図られている.一方で,面接を避けるための医師自らの労働時間過少申告,同僚医師からの指摘を受け入れにくい心理的抵抗,組織的対応の限界といった課題も残る.今後は,産業精神保健の知見を取り入れ,客観的評価手法の標準化や職場文化の醸成を進めることで,医師の健康確保を通じた医療安全を支える仕組みへと発展させていくことが求められる.

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