抄録
口腔扁平苔癬(Oral Lichen Planus:以下OLP)の臨床診断と病理組織学的診断の相関を臨床症状と病理所見および口腔扁平苔癬様病変の関与について検討した。対象は臨床的にOLPと診断され,かつ病理組織学的検査の行われた60症例とした。病理組織学的にもOLPと診断された症例(pOLP)は50%,OLP疑いとされた症例(pOLPsus.)は43%,それら以外は7%であった。pOLPとpOLPsus.を比較したところ,pOLPsus.ではびらん・潰瘍形成を伴う症例が有意に多く,OLPに特徴的な基底細胞の液化変性,Civatte bodyの出現が有意に低かった。両群間に,金属アレルギーや基礎疾患の関与を示唆する結果は得られなかった。これらの結果から,OLPにおける病理組織学的確定診断を得ることの難しさ,特にびらん・潰瘍型での病理組織学的検索の難しさが示された。