日本口腔粘膜学会雑誌
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口腔扁平苔癬における生検の意義
石井 友行篠原 正徳中村 誠司池辺 哲郎堀之内 康文広木 朗子白砂 兼光
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1996 年 2 巻 1 号 p. 42-48

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抄録
口腔扁平苔癬 (OLP) の定型病変では比較的診断は容易であるが, 非定型病変では臨床所見のみでは診断は容易ではない。そこで生検の必要性を検討する目的で, 当科にてOLPと臨床診断し, 生検を実施した108例について再検索し, OLPの臨床所見と組織所見とを比較検討した。その結果, これら症例中OLP以外の確定診断を得たものは28例で, その診断内容は, 非特異的苔癬様反応6例, 上皮性異形成6例, 白板症5例, 非特異的潰瘍4例, 過角化症4例, 扁平上皮癌2例, その他1例であった。以上より, 非定型病変の場合は臨床所見のみでは診断し得ない症例も認められ, これら症例では生検による確診が必要と考えられた。また, 生検実施にあたっては以下の点に考慮する必要があると考えられた。1) 網状型の定型病変については, 必ずしも生検を必要としない。2) 多発例では舌の生検を優先させる。3) 非定型病変は上皮異型性の程度を確認し, 必要に応じて再生検する。
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