抄録
白板症における上皮異形成とTGF-α発現との関連について検討した。そのため, 上皮異形成がみられた舌白板症30症例 (軽度: 11例, 中等度: 10例, 高度: 9例) について, TGF-αおよび細胞増殖マーカーであるPCNAの発現を免疫組織化学的に検索した。また, 正常粘膜上皮および異形成のみられない舌白板症症例についても同様の検討を行った。その結果, TGF-αは, 正常粘膜上皮ではほとんど染色されなかったのに対し, 白板症では基底細胞直上の細胞にその発現が認められた。PCNAは, 正常粘膜上皮および白板症のいずれにおいても, 基底細胞層を中心にその局在が認められた。ただし, 白板症においてはより広範に分布していた。TGF-α, PCNAの陽性率は, ともに上皮異形成が高度になるほど増加する傾向がみられた。