日本口腔粘膜学会雑誌
Online ISSN : 1884-1473
Print ISSN : 1341-7983
ISSN-L : 1341-7983
口腔白板症における喫煙とG1サイクリンの発現との関連について
油井 久美惠三觜-中村 雅子清水 啓代伊東 大典角田 左武郎南雲 正男
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 6 巻 1 号 p. 15-20

詳細
抄録
口腔白板症30例の喫煙習慣調査を行うとともに, それらの生検あるいは切除標本を用いて免疫組織化学的にG1サイクリン (サイクリンDおよびE) の発現を検索し, 喫煙と上皮性異形成およびG1サイクリン発現との関係を検討した。その結果, 喫煙と上皮性異形成発現との関連が示唆されるとともに, 上皮性異形成が高度になると, 軽度, 中等度異形成および異形成のみられない症例に比較して, G1サイクリンの発現が有意に高くなっていた。また, 喫煙指数 (Brinkman Index) が高い程, G1サイクリンの発現が高かった。以上の結果から, 喫煙は上皮性異形成を促し, G1サイクリンの発現を増強することによって, 細胞増殖能を亢進させ, 白板症の癌化に関与することが示唆された。
著者関連情報
© 日本口腔粘膜学会
前の記事 次の記事
feedback
Top