抄録
尋常性天疱瘡は40歳から60歳代に好発する自己免疫疾患とされている。本症例は13歳女児で, 口腔, 食道および外陰部粘膜に水疱とびらんを認めた。また, 皮膚病変の合併は認めなかった。病理組織学的検査 (棘融解) とDsg 3に反応を示す血清学的検査により, 粘膜優位型の尋常性天疱瘡と診断された。prednisolone 内服開始後, 臨床症状は改善したが, 抗Dsg 3抗体価は高値のままであった。尋常性天疱瘡の小児発症例は非常に稀であり, このような症例の診断には特に注意が必要であると思われる。