日本手術看護学会誌
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イギリスにおける周術期医療従事者の高等教育制度
榎本 晶
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2017 年 13 巻 1 号 p. 14-23

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抄録

要旨:イギリスでは,2003年に麻酔フィジシャン・アシスタント:PA(A)の教育が王立麻酔科医協会とイギリス・アイルランド麻酔科医協会等の協力のもと,高等教育機関において導入された。その国家政策の一環とした取り組みから,未だ約13年である。これらの両協会は2016年,PA(A)育成の協力に関して,2035年までに麻酔実施者の需要に対し「価値ある貢献」として表明した。そのPA(A)の教育の他,イギリスでは日本には存在しない麻酔・回復期看護師,手術部専門員,器械出し従事者等,様々な周術期の専門家育成の教育体制が高等教育機関において確立されている。PA(A)の教育課程を始め,これら日本で確立していない周術期医療従事者の高等教育機関における入学要件や履修科目・内容等からは,興味深い視点が得られるのではないかと考えられる。イギリスにおける周術期医療従事者や看護師の高等教育は,その分野における知識と技術をより深く追求し,自律的に専門性を強化することを国家的協働として位置づけている。本稿においては,イギリスの「看護師・周術期医療従事者」,「高等教育」,「医療政策」の3つの視点から,日本が学べることは何かを概説した。

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© 2017 日本手術看護学会
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