日本手術看護学会誌
Online ISSN : 2759-7490
Print ISSN : 1880-4780
原著
気腹装置の加温効果を妨げる因子の探索的横断研究
宮森 真璃絵吉田 智赤瀬 智子
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2023 年 19 巻 1 号 p. 191-198

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抄録

要旨:腹腔鏡手術は,低侵襲手術に位置づけられているが,気腹用炭酸ガスによって開腹術よりも体温低下が起きやすい。近年,A病院では加温された炭酸ガスを供給する気腹装置が導入されたが,従来の冷たい炭酸ガスを供給する気腹装置と加温気腹装置使用症例を比較した先行研究において,体温維持効果は賛否両論である。そこで加温気腹装置使用症例において背景因子に着目し,加温効果を妨げ,体温の低下に影響を与える因子を明らかにすることとした。加温気腹装置を使用した腹腔鏡下大腸切除術を受けた189名を対象とし,背景因子として基本属性・手術・麻酔・手術看護情報を収集した。主要評価項目は膀胱温とし,手術開始時と終了時の体温の差を従属変数,背景因子を独立変数とした重回帰分析を行った。体温変化に有意な関連を示した因子は,年齢・性別・BMI・小開腹時間・人工膠質液投与量・手術開始時膀胱温であった。このうち体温低下に影響のある因子は,高齢・女性・BMI低値・手術開始時膀胱温高値であった。これら因子を有する患者は,積極的な低体温防止策を講じる必要がある。

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© 2023 日本手術看護学会
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