2023 年 19 巻 1 号 p. 208-213
要旨:[目的]ロボット支援下腹腔鏡下腟式子宮全摘術とロボット支援下腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術における有害事象(意図しない褥瘡,神経障害症状,低体温症状)の発生率,および発生に影響を与える要因を明らかにする。
[方法]A病院において,ロボット支援下腹腔鏡下腟式子宮全摘術とロボット支援下腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術を受けた女性を対象に,電子カルテの診療情報より術後有害事象の有無と影響要因の関連について後方視的な分析を行った。
[結果]対象者は32名で,平均年齢は54.9歳(±10.9)であった。診断名は,子宮体癌22例,子宮頸部高度異形成7例,子宮筋腫3例であった。有害事象については褥瘡9件(28.1%),神経障害症状は4件(12.5%),低体温症状は5件(15.6%)発生した。神経障害症状の有無別の二群間では,BMIに有意な差を認めた(p=0.02)。低体温症状の有無別の二群間では,出血量に有意な差を認めた(p=0.02)。
[結論]有害事象(意図しない褥瘡,神経障害症状,低体温症状)のうち,最も発生率が高かったのは褥瘡であり,肩部・仙骨部に発生したが,麻酔時間,コンソール時間との関連はなかった。神経障害症状はBMIが高いほど発生することが明らかになった。褥瘡発生の有無において,影響要因と考えた項目に有意な差は認められなかった。一方,神経障害症状はBMIが,低体温症状では出血量が関連していた。