日本口腔顔面痛学会雑誌
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原著論文
顎関節症用Tampa Scale for Kinesiophobia日本語版の開発
瓜谷 大輔川上 哲司岡澤 信之桐田 忠昭
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2017 年 10 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
目的:痛みの心理社会的要因の一つである運動恐怖の評価に使用されるTampa Scale for Kinesiophobia(TSK)の顎関節症版であるTSK-TMDの日本語版(TSK-TMD-J)を作成し,その有用性を検証すること.
方法:はじめにTSK-TMDと日本語版TSKを基に原作者の許可を得てTSK-TMDを日本語に訳し,その逆翻訳を原作者に確認することを経てTSK-TMD-Jを作成した.パイロット調査として日本顎関節学会専門医に診断された顎関節症患者38名にTSK-TMD-Jの回答を求め,合計点と2つの下位項目(Activity Avoidance:AA,Somatic Function:SF)の点数を算出した.それぞれの点数について平均点,最高点,最低点を算出し,点数の度数分布を確認した.また内的整合性を示すクロンバックα係数を算出した.さらに研究期間中に2回診察に訪れた者で,2回の診察間に主観的な病状変化がなかったものを対象に級内相関係数を算出してTSK-TMD-Jの再現性を評価した.有意水準は5%未満とした.
結果:TSK-TMD-J 合計点の平均点は26.7±4.7点,最高点は36点(1名,2.6%),最低点は14点(1名,2.6%)であった.AAは平均点が14.8±3.1点,最低点が9点(3名,7.9%),最高点が21点(1名,2.6%)であった.SFは平均点が11.8点±2.6点,最低点が5点(1名,2.6%),最高点が17点(1名,2.6%)であった.クロンバックα係数は0.77であった.2回の測定間の級内相関係数は0.89(95%信頼区間0.65-0.97)であった.
結論:各項目の点数の度数分布より,天井効果,床効果はないと示唆された.またTSK-TMD-Jの内的整合性,再現性が高いことが示唆された.
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© 2017 日本口腔顔面痛学会
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