抄録
目的:Burning mouth syndrome(BMS)は慢性の口腔顔面痛のひとつで,診断および治療に難渋する.本総説では,近年国際的に発表されたBMSの病態生理,診断および治療法に関する総説を評価して,近年における国際的なBMSの病態生理,診断・分類,治療法の理解を確認する.
研究の選択:2010年から2018年に英文で作成されたBMSに関する総説を,データベースのPubMed/MEDLINE,EMBASE,EBSCO,WEB of SCIENCEから検索して評価した.
結果:59編の総説が選択された.総説の筆頭著者の所属は19か国,所属科は8診療科に分類された.59編のうち40編(68%)ではBMSを一次性と二次性に分類していた.また,45編(76%)ではBMSの痛みは主に神経障害性由来であると記載していた.4編(7%)のみがBMSと心因性要素の直接的な関連を示していた.59編には全身,局所応用,心理療法を含めた70種類ものBMSの治療法が記載されていた.治療効果を評価は,systematic reviewおよびmeta-analysisの16編に限定して評価した.36種類の治療法の中で,認知行動療法,クロナゼパムの局所投与,ガバペンチンの内服などが有効な治療法である可能性が示されていた.
結論:BMSの病態生理,診断および治療法についての国際的認識は未だに結論がでていない.いくつかのエビデンスに基づいた所見もあり,近い将来にBMS患者を救済する可能性もある.