抄録
目的:日本大学松戸歯学部では3年次歯科補綴学導入というカリキュラムの中で,顎関節症の診断基準に基づいた体験実習を行っている.本調査では歯学部学生の頭痛と顔面痛およびブラキシズムの有病率を調査し,それらの関連を検討したので報告する.
方法:日本大学松戸歯学部3年次生304名を対象に,Research Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders(RDC/TMD)日本語版の病歴に関する質問票(PHQ)を用いて,頭痛,顔面痛,およびブラキシズムの有病率を算出した.また,それらの関連性について重回帰分析を行った.
結果:PHQから,頭痛と顔面痛の有病率はそれぞれ51.6%および4.6%であった.また,睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムの有病率はそれぞれ27.3%および12.5%であった.重回帰分析の結果,頭痛ならびに顔面痛とブラキシズムとの間に関連を認めた.男女間に有意差は認めなかった.
結論:歯学部学生を対象にRDC/TMDのPHQを用いて頭痛,顔面痛およびブラキシズムの有病率を調査した結果,頭痛の有病率は顔面痛より高く,睡眠時ブラキシズムの有病率は,これまでに報告されている思春期の有病率と比較すると高い値を示した.また,頭痛ならびに顔面痛とブラキシズムとの関連が示唆された.