抄録
自然環境(生態系サービス)は,人々の健康や生活を支える基盤である.しかし,現在,この自然環境の破壊によって,すでに大量の生物の絶滅が進行中である.1992年,世界の科学者は人類に向けて,地球環境と生命の危機を警告した.しかし,事態は悪化しつづけ,軌道修正が間も無く困難になるといわれている.そして,この自然環境破壊の原因をつくり続けてきたのが,人間活動(作業)であると言われている. 作業科学・作業療法は,作業を専門として扱い,個々人の活動(作業)にアプローチして,作業変容を促すことができる専門職である.本稿では,人類が人々の健康と福祉に深く関わる地球規模の生命の危機を乗り越え,持続可能な社会を実現するために,作業科学・作業療法は「何ができるか」を考え,実践するためのヒントを提案した.