抄録
本稿では,作業療法学生を対象とした授業科目「作業科学」の紹介を行った.本授業では,作業科学の基盤的視点である作業・作業的存在を理解することを目的とし,授業内容を,自分の作業を知る,作業の見方,作業の形態,機能,意味,作業分析,作業的写真で構成した.作業・作業的存在の教育には,教員からの講義だけでなく,個人の振り返り,グループディスカッション,クラス全体での発表など,学生自らが行う多様な経験的学習が必要であると考える.また作業療法教育におけるカリキュラムは,作業・作業的存在を共通の中心的概念として掲げ,個々の科目で行われる授業内容との関連を意識しながら授業を作成することが必要であると考える.