薬剤疫学
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Infliximab による「注入に伴う反応」と併用薬との関連性:個別症例安全性報告データベースを用いたケースコントロール研究
小林 哲柴田 寛子石井 明子
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論文ID: 24.e1

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抄録

目的:Infliximab は TNFα を標的とし,慢性炎症性疾患の治療に用いられるキメラ型モノクローナル抗体である.点滴静脈注射で投与され,注入に伴う反応(infusion related reaction, IRR)を引き起こすことがある.近年,カナダにおける疾患登録データベースを用いた研究で,抗ヒスタミン薬の前投与と IRR の発現頻度とは関連することが示された.本研究では infliximab を被疑薬の一つとしてカナダ,米国,英国,および日本から報告されていた個別症例安全性報告を用い,抗ヒスタミン薬の併用と IRR の比例報告比との関連が確認できるかどうかを検討した.

デザイン:ケースコントロール研究

方法:WHO の個別症例安全性報告データベースである VigiBase を使用した.IBM SPSS version 24 を用いて,国別に 1:1 の傾向スコアマッチング解析を行った.主要なエンドポイントは,infliximab に対する IRR の併用薬との関連を評価することであった.

結果:Infliximab を被疑薬の一つとするカナダ,米国,英国,および日本の個別症例安全性報告のうち,患者の年齢または性別が不明な症例を除外した報告は,それぞれ35,729,19,095,4,618,および 1,565 例であった.IRR はそれぞれ2,293,1,427,303,および 69例の報告があった.カナダにおける抗ヒスタミン薬の併用は IRR の比例報告比と有意に関連していた (p<0.001).米国 (p<0.001),英国 (p<0.001),および日本 (p=0.007) でも抗ヒスタミン薬併用が IRR の比例報告比と有意に関連していた.

結論:個別症例安全性報告データベースを用いたケースコントロール研究により,infliximab による IRR の比例報告比と抗ヒスタミン薬の併用との関連は,カナダと米国,英国,および日本で確認された.

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