体育学研究
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循環機能検査としての止息テスト
遊佐 清有
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1974 年 18 巻 6 号 p. 323-329

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抄録

止息テストおよび加圧止息テストは, 簡易呼吸循環機能テストとして1920〜1930に多く用いられ, その信頼性について多くの報告がなされたが, 現在ではmaximalあるいはsubmaximalな負荷に対しての最大酸素摂取量や心拍反応を指標とするテストが一般的になり, 加圧止息等はあまり用いられていない. 筆者は40ミリ水銀柱加圧テストを56名の運動選手について実施し, 加圧持続時間のほかに加圧前, 加圧中, 加圧後の心拍変動および心電図について検討し, さらにハーバード・ステップ・テストや単純止息テストとの相関を検討した結果, 加圧止息テストは, dynamicな負荷とちがってstaticな負荷に対する,心拍反応をとらえる点に意味づけすれば, なお有用なテストと考えうるとした. すなわち, 循環機能をとらえるには最大負荷に対する心拍反応だけではなく, 各種の負荷段階に対しての心拍反応から多角的に把握するという観点から加圧止息テストを実施すれば意味があると考えた. なお止息テストについては, その成績が意志力に左右されることが問題にされているが, その点については持続時間を規定して心拍反応を中心に考えることによって解消しうるとした. なお, 心電図所見から一般成人についての加圧止息は20mm.Hg程度がよいのではないかと考えた.

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© 1974 一般社団法人 日本体育学会
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