体育学研究
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学童水泳選手における水泳能力の因子構造とその性差
出村 慎 一
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1990 年 35 巻 3 号 p. 219-230

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抄録

本研究の目的は学童水泳選手の水泳能力の因子構造及びその性差を明らかにすることであった.被検者として,3年以上の水泳競技経験を有する小学3年生から6年生の444名(男子231名,女子213名)が選ばれた.水泳能力の仮説的構造を構成する各要素を代表する66変量が,種々のテストの条件を考慮して選択された. これらの変量は中学生水泳選手の因子構造を捉えるために用いられたものと同じであった.男女両群において,全分散量の約76%を説明する15因子が抽出された.11個の因子が同じ名前で解釈され,中学生の因子構造と同様に,学童水泳選手の水泳能力の因子構造は多くの共通な因子によって構成されていると考えられた.また,男女における同名の因子は高い類似性が認められた.学童水泳選手に比べて中学生水泳選手の方が,体格,筋力,敏捷性などの領域における分化が進んでおり,特に水泳技能の発達は女子の方が早いことが明らかにされた.男女それぞれ8因子に有意な加齢に伴う発達が認められ,潜水,グライド,立泳などの基礎水泳技能は学童期において既に相当発達し,スピード泳因子の発達も著しく,そして加齢に伴う体格や筋力などの体力要因の発達は水泳スピードの発達に貢献すると推測された.

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© 1990 一般社団法人 日本体育学会
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