日本農薬学会誌
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全国350の流量観測地点を対象とした水田使用農薬の河川水中予測濃度の地域特異性の解析
谷地 俊二 永井 孝志稲生 圭哉
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2017 年 42 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

29種類の水稲用農薬を対象に,全国350の流量観測地点におけるPECTier2を算定する手法を開発した.PECTier2の算定パラメータのうち,重要性の高い河川流量,水稲作付面積,および用途別の農薬普及率について地域特異性を考慮し,各地点のパラメータを整備した.地域特異的なPECTier2を推定することで,農薬ごとに全国的な濃度分布の特性や,標準シナリオによるPECTier2の位置づけを明らかにした.算定したPECTier2の妥当性を検証するため,茨城県南部の桜川における推定値とモニタリングによる実測値を比較した結果,1農薬を除きその誤差は10倍以内に収まっていた.これにより,水稲用の殺虫剤,殺菌剤,および除草剤について,その用途の違いに関わらず,おおむね現実的な河川水中濃度の推定が可能となることが示された.

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