日本小児血液学会雑誌
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小児がんおよび血液疾患に対する骨髄移植の経験
とくに自家骨髄移植を行った悪性リンパ腫について
西平 浩一氣賀沢 寿人鈴木 信寛飯塚 敦夫長尾 大
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1987 年 1 巻 1-2 号 p. 112-118

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抄録
神奈川こども医療センターにおいて小児がん, 再生不良性貧血, 重症免疫不全症の計26例に対し, 同種または自家骨髄移植を行った.そのうち2例のNon-Hodgkin lymphoma (NHL) を述べた.症例1は4歳男児, Stage IV T細胞性NHL. 寛解時に骨髄を採取, pan T monoclonal抗体 (TC-2) +補体で, リンパ腫細胞を除去し, 液体窒素中に保存した.大量化学療法とTBI後, auto BMTを施行した.46日後骨髄は生着した.移植後ウイルス感染症に3回罹患したが, 現在, 14ヵ月間寛解中である.症例2は多発性骨病変を有するStage IV NHLで骨髄に転移なく, 採取骨髄は無処理で保存した.auto BMT 後18日で骨髄は生着し, 重篤な合併症なく, 現在, 無治療で15ヵ月間寛解中である.今回の結果から, CT-2抗体と補体処理骨髄でauto BMTを行っても安全であり, 予後不良のNHLはauto BMTを行うことにより, 長期生存が得られることが示唆された.
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