日本小児血液学会雑誌
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小児進行悪性固型腫瘍に対する自家骨髄移植療法
松山 孝治小島 勢二吉田 潤杉藤 徹志
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1987 年 1 巻 1-2 号 p. 119-128

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抄録
自家骨髄移植を用いての超大量化学療法をStage III~IVの進行小児悪性固型腫瘍10症例 (神経芽腫6例, ユーイング肉腫1例, ウィルムス腫瘍1例, 横紋筋肉腫1例, 仙尾部悪性奇形腫1例) に行った.早期死亡1例と他の化学療法が有効であった奇形腫の1例を除きすべて再発をみ, 治療効果は一過性であった.採取された有核細胞数は2.4~6.8×108/kgであり, 注入単核細胞数は0.5~12×107/kgであった.患児は無菌室に収容され, 消化管滅菌としてバンコマイシン, アミノグリコシド, ST合剤, ファンギゾンが用いられた.骨髄回復はday 0に死亡した神経芽腫1例を除き全例に得られ, 白血球数が1,000/mm3を越えたのはday 8~36であり, 顆粒球数が500/mm3を越えたのはday13~52であった.メルファランは骨髄回復遅延傾向がみられた.GVHDや間質性肺炎はみられなかった.進行小児癌治療に自家骨髄移植を用いての超大量化学療法は施行可能ではあるが, 有用性に関してはまだ検討を要する。
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