抄録
血友病患者87例, 頻回の輸血あるいは大量γ-globulin療法を受けた患者86例, 医療従事者350例について血中のHIV抗体を検索した.血友病患者においては31.0%の症例でELISA, Western blot双方で抗体陽性であった.他の対象中2症例においてELISAで陽性を示したが, Western blotにより確認したところ, 抗体は認められず, 血友病以外の患者および医療従事者はすべてHIV抗体陰性であった.以上の結果より, 凝固因子製剤以外の血液製剤および輸血によるHIV感染, および医療従事者への2次感染の機会はきわめてまれと思われる.しかし, 今後とも十分な注意が必要と思われる.