抄録
難治性慢性活動性EBウイルス感染症 (chronic active Epstein-Barr virus infection; CAEBV) の10歳男児例を報告した.発熱, 顔面腫脹, 慢性副鼻腔炎, 肝機能障害を伴う肝脾腫および難治性下痢を認めCAEBVと診断した.抗ウイルス剤, high-dose γ-globulin, interferon-α, interleukin-2およびVP-16の投与に抵抗性で, 心タンポナーデや心室頻拍へと進行した.ステロイド剤 (ス剤) の投与を開始後, 不整脈の消失および心嚢液減少を認め, 心機能は末期まで保たれていた.しかし他の全身症状は改善なく, 入院約1年後に肝不全のため死亡した.ス剤の有効性が心病変に限られることから, 心病変とその他の病変との病態の違いが示唆された.