症例は16歳の男子.急性リンパ性白血病の再発にて, HLA一致, MLC陰性の兄からABO不適合の同種骨髄移植 (donor AB型;recipient O型) を行った.移植後の造血細胞の回復が遅れ, G-CSFの投与にもかかわらず白血球が1,000/mm
3以上となったのが移植後33日目であった.移植後120日目からエリスロポイエチン12,000単位/週の投与を行ったが赤血球, 血小板の増加はみられず200日以上の長期にわたって赤血球輸血 (ヘモグロビン値が7g/dl以下で輸血), 血小板輸血 (血小板数が2万/mm
3以下で輸血) が必要であった.また, 移植後120日目から, 肝GVHD 1度がみられたが, サイクロスポリンAの投与により軽快した.骨髄検査でも赤芽球, 巨核球の低形成が続いたため, 兄から末梢血幹細胞移植を行った.G-CSF6μg/kgを12時間ごとに5日間連続に皮下注射し, 2日連続でアフェレーシスを行い十分な細胞数を採取して同種末梢血幹細胞移植を行った.最終の血小板輸血, 赤血球輸血はそれぞれ移植15日後と18日後であった.急性GVHD 1度 (肝, 皮膚) がみられたが, サイクロスポリンAの増量で軽快した.移植後造血能には問題なく現在完全寛解を維持している.
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