抄録
白血病患児における微少残存腫瘍 (MRD) の検出には, すでにいくつかの感度の高い検査法が報告されている.今回私たちは, 3カラーフローサイトメトリー (FCM) の, 残存白血病細胞検出法としての臨床的有用性について検討した.本研究では, CD10, CD22抗原陽性で, CD45抗原が陰性であることが, 白血病細胞のマーカーとなると考え, CD45陰性B前駆細胞性急性リンパ性白血病 (ALL) 23例を対象とした.患児骨髄中の白血病細胞は, CD10+/CD22+/CD45- or dimの形質を示し, 本法により, 104に1個の白血病細胞を検出できた.CD10+/CD22+/CD45- or dim細胞群は, 正常骨髄, 再生骨髄, および長期完全寛解を持続している白血病症例の骨髄には認められなかった.本法は, 残存白血病細胞を寛解導入治療開始後50日まで同定でき, また, 白血病細胞の漸増を, 骨髄再発が形態学的に確認される以前よりモニターすることも可能であった.以上より, 3カラーFCMは, 骨髄中の残存白血病細胞を鋭敏に検出できる検査法であり, ALL患児のMRDモニターリング法のひとつに加えてよいと考えられた.