京都府 (市部を含む) における小児造血器悪性疾患 (15歳未満) の発症頻度を京都府全体および地域別に検討した.1990年から1994年の5年間に京都府全体で発症した小児造血器悪性疾患患者数は83人で, 病型別には, ALL 57例 (68.7%), ANLL 19例 (22.9%), MDS 2例 (2.4%), CML 4例 (4.8%), JMML1例 (1.2%) であった.発症頻度は, 15歳未満の人口10万人年比3.70人で, 病型別には, ALL 2.54人, ANLL0.85人, MDS 0.09人, CML 0.18人, JMML 0.04人と諸外国からの報告とほぼ同等であった.地域別にみると京都府下4医療圏での発症頻度は, 丹後・中丹医療圏1.59人, 中部医療圏2.04人, 京都・乙訓医療圏4.95人, 南山城・相楽医療圏2.24人で, 有意に京都・乙訓医療圏で高く (
p=0.023), 逆に丹後・中丹医療圏で低い結果であった (
p=0.026).いっぽう, 乳児期 (生後12ヵ月未満) に発症した患者数は83人中8人 (9.6%) (ALL 5人, ANLL 3人) で, 乳児白血病の発症頻度は6.62人であった.これまでの報告では, 乳児白血病の発症頻度は3-4人といわれていることから, 京都での発症頻度が高い傾向にあると思われる.なぜ京都・乙訓医療圏において小児白血病患者の発症頻度が高いのか, 今後さらに検討を続ける必要がある.
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